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税理士法人心

相続税の物納

  • 文責:税理士 寺井渉
  • 最終更新日:2022年8月24日

1 相続税の物納とは

相続税の物納とは、現金の代わりに、相続財産のうち、財産的価値のあるものを税金として納めることです。

相続税は、延納でも現金が準備できないほど多額になることもあります。

そのような場合には、物納が認められることがあります。

2 相続税の物納にあたって注意すべきこと

物納を検討するにあたっては、何点か注意するべきことがあります。

物納できる財産は、法律上、優先順位が付けられています。

順位は、国債・地方債・不動産・船舶が一番、社債や株式が二番、最後に動産です。

二番の物納は、一番だけでは不十分な場合、三番の物納は、一番・二番だけでは不十分な場合にしか認められません。

また、不動産は、物納できない場合があります。

たとえば、共有になっているものを共有者の一人が物納することはできません。

担保に入っている不動産も物納できません。

3 相続税の物納の手続き

物納の手続きとしては、相続税の申告期限(相続開始を知った日から10か月以内)までに、物納申請書を税務署に提出することになります。

その際は、税務署に物納の許可を得るのに必要な書類を提出しなければなりません。

たとえば、不動産では測量図や境界画定図などが必要です。

測量したり、隣地の所有者との境界を確認したりするには、境界などについて争いがない場合であっても、数か月はかかることが多いです。

ですから、相続税の申告期限(相続開始を知った日から10か月以内)に間に合わせるには、生前から準備をしておくことが望ましいです。

物納以外の選択肢としては、相続財産のうち、財産的価値のあるものを売却することも考えられます。

売却に当たっては、不動産の場合は、譲渡所得税などがかかります。

しかし、物納の評価額(相続時の評価額)より高値で売れるならば、売却の方が得になる可能性があります。

売却の場合も、測量図を取り寄せるなどの準備を行う必要がありますので、相続税の申告期限に遅れないよう注意する必要があります。

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